俳人正岡子規の顕彰と研究を重ねる「松山子規会」(烏谷照雄会長)が子規生誕150年を機に出版したのが本書。子規に関する松山を中心とした事柄を会員が12年がかりで執筆編集し、約600項目を掲載した全国初の子規事典だ。
きっかけは2006年、当時の会長で子規記念博物館初代館長を務めた和田茂樹さん(故人)の呼び掛け。「常任理事会の全会一致で大事業がスタートした」(井手康夫前会長)。
当初は会員の間から「本当に作れるのか」との声も。こうした頃、子規が愚陀仏庵で夏目漱石と共同生活した時の吟行記録「散策集」の調査に着手。作中の寺を特定するなど成果を上げ「自分たちでできると確信、発行への決意を新たにした」(今村威さん)という。
編集委員長は茂樹さんの長男で子規研究者の和田克司さん。月1回の会の例会ごとに東予、南予へと足を延ばし、古老に話を聞き、墓や句碑を探すなど新事実発掘に心血を注いだ。ところが和田さんは15年に急逝、最大の試練を迎える。子規が活躍したのは東京など松山を出てからで、事典には生涯にわたる記述が不可欠。屋台骨を失った中で、会が選択したのは松山に重点を置いた事典。愛媛出身の子規研究家にも協力を仰いだ。
事典には松山ゆかりの作品抄や、全国の子規文学碑、年表なども掲載。巻頭グラビアは「子規が見たであろう松山の風景にこだわった」(佐伯健さん)ほか、「中高生ら若い世代にも分かりやすい文章になるよう校正を重ねた」(渡部平人さん)。
発行した1400部は県内の図書館や松山市内の中高校などに配布すると共に早々に完売。「会発足以来の先輩たちの研究も盛り込んだ、松山でないとできなかった事典。全会員の熱意の結晶」と編集委員長を引き継いだ平岡英さんは胸を張った。
『松山子規事典』
第34回愛媛出版文化賞
第一部門賞に輝く!
『松山子規事典』完売!
12月例会(平成29年12月19日開催 第899回例会)で、『松山子規事典』は完売したと烏谷照雄事務局長が発表した。
また、岩波書店や講談社からも届いた『松山子規事典』に対する好意的な書評も紹介した。
△『松山子規事典』は完売したと報告と謝辞を述べる烏谷照雄事務局長
△「『松山子規事典』を発行するまでの逸話や苦労話などを集めた特集号を、平成30年度内に刊行する計画だ」と表明した渡部平人「子規会誌」編集部長
「松山子規事典」ニュース
松山市教育委員会から「松山子規会」に対し感謝状
松山市教育委員会(教育長 藤田仁)から「松山子規会」に対し、「松山子規事典」を松山市内の小中学校に寄附し児童の教育に貢献したとして先ほど、感謝状が贈くられました。(写真)
『松山子規事典』完成!
松山子規会(会長・井手康夫)は平成29年10月2日、11年をかけて取材と編集を行ってきた『松山子規事典』(B5版470頁)が完成したことを松山市内のホテルで報道関係者に公表。その後、来賓と会員70人が発刊記念祝賀会を開催しました。この模様は新聞、テレビで紹介され『松山子規事典』が広く紹介されました。
祝賀会出席者は祝辞の中で「松山子規会会員の永年の努力がにじみでている」「松山と正岡子規を取り上げた事典は初の試みで、若い世代にも読みやすい内容だ」と述べ、さらに「正岡子規の広い人脈や松山の文化的環境が全国により広く紹介されることは喜ばしい」と語っていました。
販売所は、松山市立子規記念博物館の書籍販売所と全国の明屋(はるや)書店。1冊4,500円(消費税別)送料別途。
写真:上段2枚=完成した『松山子規事典』 中段=盛大な出版記念祝賀会
下段=祝賀会後、松山子規会会員の記念撮影
(前列左から2人目=和田千鶴子さん、中央=井手康夫会長、その右隣=正岡子規の孫・正岡明氏
このほか、出席できなかった大勢の松山子規会員の協力で『松山子規事典』が完成しました。
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